
「映画」にかかわる現場で、素晴らしい仕事を重ねてきた、
チャーミングな二人の女性の本を刊行します!
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『極私的エロス・恋歌1974』『ゆきゆきて、神軍』『全身小説家』『水俣曼荼羅』など、原一男監督の一連の作品のプロデューサーとして知られる小林佐智子さん。
そして、『主戦場』『キャタピラー』『PEACE』『人生フルーツ』など、宣伝を手掛けた作品はどれも大ヒットという松井寛子さんの本です。
「映画一筋に生きてきた二人の物語を読んでみたい。多くの映画ファンにそのスピリッツを伝えたい」
そんな思いからこのプロジェクトはスタートしました。
松井寛子さんの「映画宣伝おばちゃん」
小林佐智子さんの「極私的疾走の軌跡」遂に完成です。
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小林佐智子
新潟市生まれ。新潟大学人文学部仏文学科卒業。上京後、日本シナリオ作家協会シナりオ研究所に通い、石堂淑郎、浦山桐郎ゼミ研究生となる。1972年、原一男監督と共に疾走プロダクションを設立。プロデューサーとして『さようならCP』(1972年)『極私的エロス・恋歌1974』『ゆきゆきて、神軍』(1987年)『全身小説家』(1994年)を製作。2004年には劇映画『またの日の知華』を脚本・製作。ほかに TVドキュメンタリー『追跡731部隊」(92,演出)『映画監督浦山桐郎の肖像』(98,構成)『花のいろは 歌舞伎役者・片岡仁左衛門』(03,構成)。ビデオ作品『学問と情熱 高群逸枝』(02,脚本)『旅するわっぱ ーイタリア社会的協同組合を探ねて1・2』(03,演出)『ニッポン国VS泉南石綿村』(2017年)『水俣曼荼羅』(2021年)製作。
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松井寛子
大阪市生まれ。映画プロデューサー前田勝弘氏から自主上映や宣伝などについて学ぶ。『ニッポン国古屋敷村』(小川紳介監督/1982年)や土本典昭監督作品の自主上映運動からはじまり、ドキュメンタリー映画は『ゆきゆきて、神軍』(原一男監督/1987年)を皮切りに、森達也監督、想田和弘監督、三上智恵監督、熊谷博子監督、坂上香監督監督の劇場公開一作目から宣伝に携わり、東海テレビ制作作品は「人生フルーツ』(伏原健之監督/2016年)など全作品の宣伝を担っている。 また、『月はどっちに出ている』(崔洋一監督/1993年)『幻の光』(是枝裕和監督/1995年)『実録・連合赤軍あさま山荘への道程(みち)』(若松孝二監督/2007年)『キャタピラー』(若松孝二監督/2010年)「野火」(塚本晋也監督/2014年)など劇映画の宣伝も多数手掛けている。
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小林佐智子さんのメッセージ 今振り返ると、どうしてあの時、なんの恐れも不安もなく、自分の手で映画を作れると思ったのだろう。1969年という時代の魔法の力だったのか。物心ついた時から大きなスクリーンで浴びるように見てきた映画。それが、手を伸ばせば届くところにきていたことが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。 上京して初めて目の当たりにした、“自主製作・自主上映”のドキュメンタリー映画の迫力、上映会場の熱気、作り手との連帯感。その時からもう心は走り出していたのだと思う。 もちろん、原一男という空前絶後の相棒に出会えたことが大きい。新潟からぽっと出の、どこの馬の骨かわからない女の子の「映画が作りたい」という話を、まともに受け止めてくれたのが原さんだった。 原さんはよく講演などで話していた。「もし小林に出会わなかったら、自分は今頃、世界を駆け巡るフオトジャーナリストになって、ビルの一つも建てている」と。それは、あながち嘘ではないと思っている(ビルが建ったかは不問)。なにものにも縛られたくない、という原さんの翼に私は映画という大きな枷をかけてしまった。映画を完成させるためには時間とお金がかかる。この身一つで飛び回るというわけにはいかないのだ。 1970年代に「さようならCP」「極私的エロス・恋歌1974」、80年代に「ゆきゆきて、神軍」、90年代に「全身小説家」、2000年代に「またの日の知華」、2010年代に「ニッポン国vs泉南石綿村」、2020年代に「水俣曼荼羅」、なんと律儀に10年単位に7本の作品を作り続けてきた。50年で7本、その軌跡を辿り、それを1冊の本にしてもらえるという、またとない機会をいただきました。 本当に書き上げられるのだろうか、不安はぐっと押し込めて、この出版企画を支援してくださっているかたがたに、何としても面白いと思ってもらえる本をお届けしたいと「刻苦精励」(原さん曰く)しています。
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松井寛子さんのメッセージ
私が映画の本を書くなんて思いもよりませんでした。 お天気がいい休日はハイキングや神社仏閣、美術展へ行く私。お天気のいい日に映画館へ映画を観にいきはる人は本当に映画が大好きな人なんやと敬服してしまう私。映画が人生のすべてではない私。ところが、いつのまにか映画を生業とし、その上、人に「この映画ええから観てね〜」と大阪のおばちゃんの特性でお節介にも他人に押し付けてしまう私。映画に対してそれは失礼なことかなぁと思ったことが何度もあります。 映画のことならもっと映画をよく知ってる人がたくさんいたはることも、もちろん知ってます。そんな私が映画の本を書くなんて嘘やろ?なにかの間違いちゃう? 私の映画の師匠で人生の師匠でもある、映画プロデューサーだった故前田勝弘さんがこう語っていました。 「その人が映画をよく知らなくてもいい、映画をたくさん観ていなくてもいい。一本でも観た映画でその人の人生がかわるようなそんな映画を作りたい」 観た本数ではない。映画を観ることで人生が豊かになるような作品に出会いたい。 震えるような映画に出会いたい。 世界のこと日本のこと、世間というもの、人間というもの…。私は映画によって多くのことを知ることができました。そしてなにより映画を通して豊かで魅力的な人と出会うことができました。 人生がどれほど楽しく豊になったことか計り知れません。「映画」が知らず知らずに私の血となり肉となり、人生を変えたのだと思ってます。 私には映画専門書はとても書けないです。なので「映画」専門のことより「映画」を通して出会った素敵な人たちとの「四方山話」なら大阪のおばちゃんは書けそう!! そう思って決意し、引き受けました。ぜひ御一読ください。
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支援者のコメント
著名な映画監督、俳優、映画人からたくさんの応援メッセージが届きました!

阪本順治 映画監督
映画本多々あれど、凡そは映像従事者やそれに憧れるひと、または観客に向けた内々書で、そんなお仕事図鑑ではなく、容易くいえば、業界の暗所に潜むけったいなひとたち、異端児、婆娑羅ものを扱う、芸術書というより、そのひとの異聞奇譚を語ってくれるような書が私はすきで、そんな書籍を期待します!

森達也 映画監督
カンコさんに初めて会ったのは『A』の大阪公開時である二十数年前。プロデューサーの安岡卓治とともに舞台挨拶のために大阪入りしたその日の夜。圧倒された。何だこのおばちゃん。それから長い。でもカンコさんはまったく変わらない。映画と人が大好き。権力を振りかざす人は大嫌い。つまり反骨。いつも全身全霊。それはこれからも変わらない。カンコさんと小林佐智子さんの本。二人は裏方。でも実はキーパーソン。キャラはまったく違うけれど役割の大きさは同じ。早く読みたい。楽しみがひとつ増えました。

白石和彌 映画監督
映画書籍が好きだ。もしかしたら映画よりも好きかもしれない。 一本の映画にも映画に関わる多くの人々にも知られざる物語が数多ある。
映画にまつわるあらゆる物語を読みたい。 え? 寛子さんの本を企画中? そんなの面白いに決まってる! いきなりどストライクを投げる零号叢書!このプロジェクト応援します!

井浦新 俳優
カンコさんとの出逢いは、亡き若松孝二監督からの紹介でした。若松監督と大阪へ映画のキャンペーンに行った時に、映画館で唐突に紹介されました。最初は監督のファンの方かと思ってましたが、様子が違う。大阪の新聞やラジオや雑誌の取材を仕切り、しかも隙間なく手際よく限られた時間の中でフルに取材を組む手腕。只者じゃないなと思いました。でも取材が終わるとえべっさんの様な笑顔で、映画の話や旅や美術の話を楽しそうにする姿に癒されるんです。好きな監督や好きな作品だけに特化して、自ら率先して宣伝をやってるんです。そんな稀な映画の宣伝担当は日本ではカンコさんしかいないでしょう。好きな事に一生懸命な大阪の姉さん。今まで関わってきた映画人は、そんなカンコさんだからこそ見せてきた、話してきた、過ごしてきた時間があるはずです。関西を中心とした日本映画の生き字引!カンコさんの眼差しが捉えてきた映画人の、日本映画の記録は、ありきたりな映画史には絶対に載らない、価値のある本質そのものだと思います。 皆さまの応援とお力をお借りして、カンコさんの見てきた映画史が、一冊の本となり、広く多くの方々に知っていただける事を願っています。皆さま、クラウドファンディングでのサポートを、どうぞ宜しくお願い致します。

想田和弘 映画作家
小林佐智子さんの本も、松井寛子さんの本も、絶対面白そうじゃないですか。ぜひとも読みたいので、零号出版、猛プッシュします。みんなで実現しようぜ。

末井昭 エッセイスト
映画に関する書籍といえば、俳優、監督などの本に限られますが、表に出てこないけど重要な仕事、面白い仕事をされている方もたくさんいらっしゃいます。そういう人たちに焦点を当てた書籍が、この度クラウドファンディングで出版されることになるそうで、楽しみにしています。個人的には疾走プロダクションのプロデューサー小林佐智子さんの本が読みたいです。

塚本晋也 映画監督
映画の現場がさらに身近なところまでやってきて、リアルに今の状況やすばらしいご活動が見えてくるご本になりますね。楽しみです。

熊谷博子 映画監督
カンコさんと映画のPR活動をするのはむちゃ楽しい。あの大阪弁の率直なおしゃべり、そして彼女が紹介してくれる人脈の確かさだ。いい映画でも、その後の成否は宣伝で決まる、と最近つくづく思っている。「なんかめちゃ恥ずかしいんです…」とご本人は言っているが、ものすごく面白そうな本ができそう。

安岡卓治 プロデューサー・日本映画大学教授
もう40年以上も前のことなんかな、カンコちゃんと会ったのは。 ガリガリのちっちゃいお姐さんってカンジやった。今は想像できんやろ。 以来、大阪に行くたんびに、何かしら手伝わされた。チラシまいたり、映写やったり、 図々しいと言えば、図々しいけど、全然イヤミがない。 カラっとしてて、悪気が皆無。手伝いが楽しかった。 こちらの作品の上映では、大いにお世話になった。 今、私があるのは、カンコちゃんのおかげです。

中村高寛 映画監督
以前、某有名映画雑誌でエッセイを書いていた。その数年にも及ぶ連載が終わるころ、「単行本にはなるんですか?」と聞いたら、有名人、著名人じゃないと無理(確かに私はしがない映画監督……)」と即答された。出しても元が取れないという。いまさら当時のことを蒸し返してディスっているわけでも、愚痴りたいわけでもない。それくらい出版界も不況ということだ。でも私自身、振り返ってみると「映画を観る」だけでなく、「映画を読む」ことで、多くのことを学んできた気がする。「好き嫌い」という感覚だけでなく、映画を語る言葉を見つけることができたのだ。出版界の現状を目にしたとき、零号出版は前途多難な船出になるだろう……。誤解を恐れずに言うと勝ち目のない闘いである。それでもあえて挑もうとするならば、私がその船に乗らない手はない。映画を愛する者ならば、その想いは同じではないだろうか。

佐々木誠 映画監督
近年の原一男監督作品のプロデューサー島野千尋さんが関わる映画専門の出版集団(社ではなく集団!)の第一弾が、疾走プロダクション代表として数々の伝説的映画を原監督と共に送り出したあの小林佐智子さん初の自伝!別角度から描かれる原一男作品の裏側としても、激動の人生の物語としても迸る熱×熱×熱にやられること必至。楽しみしかない!!

林 未来 元町映画館支配人
原一男監督の作品制作を支える小林佐智子さんの名前は作品で何度も目にしたが、どんな方かはまったく知らない。鉄のような強い女だろうか、鋭く社会を見る女傑だろうか、それとも柔らかな風のような女性だろうか。映画同様不況が続く出版界での原監督らの新たな挑戦に、今からワクワクし通しだ。早く読ませて!

井上淳一 脚本家・映画監督
えええ、あのカンコさんの本が! 大阪にパワー全開の「宣伝オバチャン」がいるとは聞いていたが、実際に会ったカンコさんは想像以上。とにかく映画にも監督にも全身全霊でぶつかってくる。仕事度外視。好きか嫌いか。きっと味方も多いだろうけど、敵も多いだろう。だからこそ、魅力がある。だいたい大阪の宣伝って何? もうカンコさんの半生も含めて分からないことだらけ。名だたる監督たちを虜にしたそのヒミツを読みたい。この本は東京中心の映画文化に対する革命だ!

大西信満 俳優
カンコさんはいつもすごく楽しそうにずっと喋っている。次から次へ、どんどん言葉が溢れてくる。あっという間にみんなカンコさんの世界に引き込まれる。打算も利害も関係なく、心から本当にそう思っているのが伝わってくる。だからカンコさんが宣伝を担当してくれる作品は幸せだ。賑やかに、溢れでる愛情でお客様に送り届けてもらえるのだから。

柴田昌平 ドキュメンタリー映像作家
新人の映画監督がデビュー作を大阪で公開するとき、お世話になるのが寛子さんだ。 きっと寛子さんほど、監督たちの心細い様子、もがき恥じらう姿、はじけていく顔を たくさん見ている人はいないだろう。寛子さんの言葉から紡ぎ出される映画界の裏面史は、 かけがえのない読み物となること、間違いなし!楽しみです。

内田伸輝 映画監督
「映画のエンドロールを観てもわかるように、ひとつの映画の中には、多くの人々が関わり、それぞれの人生を生きています。その魅力的な人々の仕事を書籍化することは、その人が生きてきた時代と人生をほんの少しでも感じることができるので、今から書籍を読むのをとてもワクワクしています。」

斎藤文 撮影監督
「映画作りの裏側には泣いたり頭抱えたり眠れぬ夜を過ごしたり、そうやって想いの詰まった一つの作品が出来上がると思います。表に見える事は分かり易いですが、その裏にある意味や存在を知る事も実のところ大事だと感じます。零号出版が作る書籍に私が本当に知りたい事が出てくるのかと思うとワクワクします。」

中村真夕 映画監督
映画製作、そして映画宣伝のある時代を疾走してきた二人の女性が見た映画についての本を楽しみにしています

磯見俊裕 映画美術
「えー、カンコちゃんが本になるって!そんなこと出来んのやろか?
よう動いて、よう喋るからカンコちゃんなんやから。その本もよう動き回って、よう喋りまくるんやろか‼︎ 本なんてもんがカンコちゃんを捉えられるんやろか?見てみたい!!どんな形で本に入ってるんやろか、カンコちゃんが。すごくみてみたい…ホラーかなぁ。」

洪相鉉 全州国際映画祭プログラミングアドバイザー
ふとハワード・パイルの小說『ロビンㆍフッドのゆかいな冒険』と李箱の詩「烏瞰図」を思い浮かべる。これは彼ら自身が活劇のヒーローである「疾走プロ」の歩みを「十三人の子供が道路を疾走する」という詩句のように見晴らすための巨大な企画である。興味津々の物語溢れる宝島行きのチケットを買おう。

仁藤由美 名古屋シネマテーク
映画書籍の刊行ときくと胸がちょっと熱くなる。いま在る型をわきまえなく破ったりしながらも時代を拡張する人たちがいて、独創的というよりはその独走みたいなアティテュードこそが次にくる者たちを押してくれるのだと思う。零号出版。まだ表現されていないことばを、声を、きかせてほしい。

尾崎宗子 若松プロダクション
若松は『関西はかんこちゃん(松井寛子)に任せておけば大丈夫!』と言っていつも会うのを楽しみにしていた。かんこちゃんとは若松が信頼していた大阪のおばちゃん(若松が大阪のおばちゃんと言っていた)である。かんこさんと監督や俳優陣の珍道中は何度聞いても面白い。おばちゃんと映画人の珍道中、早く読みたいな。

松崎まこと 映画活動家・放送作家
映画は、ただ観ればいいってもんじゃない!名作の評伝からスターのファンブック、製作の内幕話に、数多の映画人たちの痕跡を記したもの…。そうした書籍が、映画文化を支え豊穣にする、大切な役割を果してきた。出版不況どころか大不況の折り、果敢に映画書籍に挑戦する零号出版の、その心意気や良し!!

雨宮真由美 アダムズ・アップルLLP
『ゆきゆきて、神軍』や『全身小説家』のプロデューサー、小林佐智子さんの半生は監督の原一男さん以上にドラマチックだと聞く。その小林さんが疾走プロダクション設立50年目に自ら執筆されるという『極私的疾走の軌跡』(仮題)が面白くない訳がない。出版を心待ちにしています!